訪問看護で使用する医療保険の加算について、種類や算定要件等まとめました

訪問看護医療保険の加算について

訪問看護サービスを提供する上での医療保険制度では、基本報酬の他に算定できる加算というものがあります。加算とはざっくりいうと、看護サービスに付随するオプション的なものです。今回は、医療保険の加算の種類と算定要件、算定額等について詳しく調べました。

※ 介護保険の加算については、こちらの記事で詳しくまとめていますのでご参考にしてください。


そもそも加算って何?

訪問看護の報酬は、医療保険、介護保険共に基本報酬が定められています。


この、基本報酬(単位)以外で付くものが、いわゆる加算と呼ばれるものです。

加算は、種類が豊富であり、算定できる回数等の制限が加算の種類によって異なる等、非常に細かく、加算のすべてを網羅するのはなかなか骨が折れますが、加算を知らない為に、本来請求できるものが請求出来てなかったとならないように、少しでも覚えておくと良いでしょう。

医療保険の加算の種類について

医療保険の加算は、以下のようなものがあります。

月1回算定できる加算

ターミナルケア療養費とは?

訪問看護ターミナルケア療養費とは、ターミナルケアの支援体制を整備している訪問看護ステーションが、在宅等での終末期の看護の提供を行った場合に算定します。

算定要件

➀ 利用者とその家族に対して、事前にターミナルケアの支援体制(連絡先の電話番号、連絡担当、緊急時の注意事項等)について、説明している事。
➁ 主治医と連携をした上で、在宅での終末期の看護を提供する事。
➂ 死亡日および死亡日前日14日以内に、計15日間に2回以上訪問看護基本療養費(精神科訪問看護基本療養費)を算定している事。(医療での訪問看護指示書で介入がある事)
※ターミナルケア療養費は、その利用者に複数ステーションが介入していても1つのステーションしか算定できません。

ターミナルケア療養費1と2の違いについて

ターミナルケア療養費1

在宅で死亡した利用者、または特別養護老人ホーム等で死亡した利用者に対してターミナルケアを行った場合、訪問看護ターミナルケア療養費1が算定できます。

※ターミナルケアを行った後、24時間以内に在宅以外で死亡した利用者も含みます。

算定額は、1回25,000円となります。

ターミナルケア療養費2

特別養護老人ホーム等で死亡した利用者のなかで、介護保険における看取り看護加算等を算定した利用者については、訪問看護ターミナルケア療養費2が算定できます。

算定額は、1回10,000円となります。

24時間対応体制

24時間対応体制加算とは、利用者またはその家族等から、必要に応じて緊急時の訪問看護を行える体制や、電話などによるお問い合わせや、意見などを求められた場合に常時対応できる訪問看護ステーションが算定できる加算になります。

算定要件

➀ 訪問看護ステーションから、地方厚生(支)局長に24時間対応体制の届出を提出している事。
➁ 事前に保健師、看護師が、利用者又はその家族など対して、当該体制について説明し、同意を得ている事。
➂ 電話番号や所在地、および直接連絡の取れる連絡先を記載した文書を、利用者及び家族などに交付している事。

算定額は、1回6,400円となります。

特別管理加算

特別管理加算は、特別な管理を必要とする利用者に対して、計画的な管理を行った場合に算定できる加算になります。

算定要件

➀ 訪問看護ステーションから、地方厚生(支)局長に特別管理加算の届出を提出している事。
➁ 訪問看護ステーションで、24時間対応体制加算を算定できる体制を整備している事。

特別管理加算は、利用者の状態によって算定額が異なります。
・在宅自己腹膜灌流指導管理を受けている状態にある者
・在宅血液透析指導管理を受けている状態にある者
・在宅酸素療法指導管理を受けている状態にある者
・在宅中心静脈栄養法指導管理を受けている状態にある者
・在宅成分栄養経管栄養法指導管理を受けている状態にある者
・在宅自己導尿指導管理を受けている状態にある者
・在宅人工呼吸指導管理を受けている状態にある者
・在宅持続陽圧呼吸療法指導管理を受けている状態にある者
・在宅自己疼痛管理指導管理を受けている状態にある者
・在宅肺高血圧症患者指導管理を受けている状態にある者
・人工肛門または人口膀胱を設置している状態にある者
・真皮を越える褥瘡の状態にある者
➀NPUAP分類Ⅲ度またはⅣ度
➁DESIGN-R分類D3,D4,D5
・在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している者

上記に該当する利用者の算定額は、2,500円となります。

特別管理加算(重症度の高いもの)

・在宅悪性腫瘍等患者指導管理を受けている状態にある者
・在宅気管切開患者指導管理を受けている状態にある者
・気管カニューレを使用している状態にある者
・留置カテーテルを使用している状態にある者

上記に該当する利用者の算定額は、5,000円となります。

在宅患者連携指導

在宅患者連携指導加算とは、利用者の診療情報などを医療関係職種間で文書を共有し、各職種が診療情報を踏まえて対応した場合に算定する加算になります。

算定要件

➀ 医療関係職種間で月2回以上、文書(電子メール、ファクシミリも可)により情報共有をする事。
➁ 共有された情報を踏まえて療養上必要な指導を行う事。(准看護師は除く)

算定額は、1回3,000円となります。

精神科重症患者支援管理連携加算とは

精神科重症患者支援管理連携加算は、重度の精神疾患患者等が、在宅で安定して過ごせるよう訪問看護ステーションの看護師、准看護師、保健師、作業療法士が保険医療機関と連携して行う訪問看護を評価する加算になります。

算定要件

➀ 保険医療機関の職員と共同で会議を行う事。
➁ 利用者が、保険医療機関において精神科在宅患者支援管理料2の算定対象者になっていて、その保険医療機関と訪問看護ステーションが連携している事。
➂ 精神科訪問看護基本療養費、24時間対応体制加算、精神科重症患者支援管理連携加算の届出を地方厚生(支)局長に行っている事。


精神科重症患者支援管理連携加算は、重症度(以下、Ⅰ、Ⅱ)によって「イ」「ロ」の2つに分かれます。

Ⅰ 1年以上の入院歴を有する者で、措置入院または緊急措置入院を経て退院した患者であり、都道府県等が精神障害者の退院後支援に関する指針を踏まえて作成する退院後支援計画に関する計画に基づく支援機関にある患者または入退院を繰り返す者
Ⅱ 統合失調で、統合失調症型障害もしくは妄想性障害、気分(勘定)障害または重度認知症の状態で、退院時または算定時におけるGAF尺度による判定が40以下の者

上記のⅠとⅡの2つが該当する場合は(イ)、どちらか1つの場合は(ロ)が該当します。

精神科重症患者支援管理連携加算(イ)

算定要件

異なる複数の職種間によるカンファレンスを週1回開催(うち月1回以上は多職種チームと保健または精神保健福祉センター棟と共同してカンファレンスを開催)する事。

算定額は、1回8,400円となります。

精神科重症患者支援管理連携加算(ロ)

算定要件

異なる複数の職種間と保健所、または精神保健福祉センター等が共同してカンファレンスを月1回以上開催する。

算定額は、1回5,800円となります。

情報提供療養費とは

訪問看護情報提供療養費とは、市町村(自治体)や義務教育諸学校、保険医療機関などに対して、訪問看護に関する情報を提供した場合に算定できる加算になります。以前は情報提供先は市町村等に限定されていましたが、平成30年4月の改定で情報提供先が拡大されました。

訪問看護情報提供療養費には、Ⅰ~Ⅲの3種類があり、情報提供先や対象者により異なります。

算定額は、Ⅰ~Ⅲ一律で1,500円となります。

情報提供療養費(Ⅰ)

情報提供療養費(Ⅰ)の算定要件

関係機関からの求めに応じ、利用者またはその家族の同意を得て、訪問看護を行った日から2週間以内に居住地の市区町村(自治体)、保健所、精神保健福祉センターなどに対して、書面による訪問看護に関する情報提供をした場合に算定できます。

情報提供療養費(Ⅱ)

情報提供療養費(Ⅱ)の算定要件

学校からの求めに応じて、利用者またはその家族の同意を得て、訪問看護を行った日から2週間以内に小学校や中学校、特別支援学校などの入学・転学時に、訪問看護の状況を示す文書を添えて必要な情報を提供した場合に算定します。

情報提供療養費(Ⅲ)

情報提供療養費(Ⅲ)の算定要件

保険医療機関、介護老人保健施設または介護医療院に入院または入所する利用者に対して、利用者またはその家族の同意を得て、保険医療機関の主治医に訪問看護に係る情報を提供した場合に算定します。

看護・介護職員連携

看護介護職員連携強化加算とは、たんの吸引が必要な利用者に対して、看護職員がたんの吸引等の業務について医師の指示のもとに計画書を作成し、訪問介護事業所の訪問介護員等に、たんの吸引等の業務や緊急時の対応について助言した上で、利用者の居宅等において、業務の実施が確認できた場合に算定できます。

※看護職員連携強化加算の目的は、訪問介護員がたんの吸引等の業務を安全かつ円滑に行うことができるようにすることの為、技術不足を補うための同行であったり、たんの吸引の技術を学ぶ事が目的の同行については、加算を取ることができません。

算定要件

➀ 24時間対応体制加算を地方厚生(支)局長に届出をしている事。
➁ 喀痰吸引等業務を行う介護職員等の支援(同行、助言)を行う事。

算定額は、2,500円となります。

月2回加算

在宅患者緊急時カンファレンス

在宅患者緊急時カンファレンスとは、治療方針の変更時や、利用者の状態急変時等に、在宅医療を担う医師の求めにより、医療関係職種等がカンファレンスを行い、療養上に必要な指導を行った場合に算定できる加算になります。

算定要件

➀ 利用者の治療方針の変更や、状態急変時等に、在宅療養を担当する医師の求めにより開催されたカンファレンスに、訪問看護ステーションの看護師等(准看護師を除く)が参加する事。
➁ 在宅療養を担当する医者と共同で、利用者や家族に対して指導を行う事。
※カンファレンスを行う場所は、原則として利用者の居宅で行う事。

算定額は、2,000円となります。

週1回加算

長時間加算

訪問看護サービスでは、1時間30分以上続けて訪問看護を行った場合に、長時間訪問看護加算として加算が算定できます。

算定要件

➀ 1時間30分以上続けて訪問看護を行う事。

算定額は、5,200円となります。

1日1回加算

緊急訪問看護加算

緊急訪問看護加算とは、前もって医療保険で計画していた訪問看護以外(緊急時)で、利用者や家族等の緊急の求めに応じ、主治医の指示により訪問看護を行った場合に算定できる加算になります。

算定要件

➀ 利用者の担当主治医が、診療所又は在宅療養支援病院の保険医である事。
➁ 診療所又は在宅療養支援病院が、24時間往診及び指定訪問看護により対応できる体制を確保している事。
➂ 24時間連絡を受ける、訪問看護担当者の氏名、連絡先電話番号、注意事項等について、文書で利用者に提供している事。

算定額は、2,650円となります。

※緊急の訪問看護を行った際は、必ず主治医に利用者の病状を報告します。症状や病状の変化によっては、特別訪問看護指示書の交付を受けて、訪問看護計画を見直すことが必要になります。

乳幼児加算

乳幼児加算は、6歳未満の利用者に対して訪問看護を実施した場合に1日につき1回限り算定する加算です。

算定要件

➀ 6歳未満の利用者に対して訪問看護を行う事。

算定額は、1,500円となります。

毎回加算

精神科複数回訪問加算

精神科複数回訪問加算とは、精神科訪問看護基本療養費に要件を満たし、1日に複数回の訪問看護を行った場合に算定できる加算になります。

算定要件

➀ 訪問看護ステーションから地方厚生(支)局長に、24時間対応体制の届出を提出している事。
➁ 訪問看護ステーションから地方厚生(支)局長に、精神科訪問看護基本療養費の届出を提出している事。
➂ 利用者の担当主治医が、複数回の訪問看護が必要であると認める利用者である事。
➃ 保険医療機関で、精神科在宅患者支援管理料1、若しくは2を算定している事。

算定額は、1日に2回の場合は、4,500円となり、3回以上の場合は、8,000円となります。

機能強化型訪問看護療養費

機能強化型訪問看護療養費とは、常勤看護職員を手厚く配置し、重症度の高い利用者の受け入れや24時間対応体制などを有する機能の高い訪問看護ステーションが算定できます。

機能強化型訪問看護療養費は1-3までと3つに分かれており、それぞれ詳しい算定要件、算定額は以下をご覧ください。

機能強化型訪問看護管理療養費1

算定要件

➀ 常勤看護職員数の数が7人以上である事。
➁ 別表第七に該当する利用者数が月に10人以上である事。
➂ ターミナルケアの件数が年間で20件以上である事。
➃ 超・準超重症児(15歳未満)の利用者数の合計が6人以上である事。

算定額は、12,400円となります。

機能強化型訪問看護管理療養費2

算定要件

➀ 常勤看護職員数の数が5人以上である事。
➁ 別表第七に該当する利用者数が月に7人以上である事。
➂ ターミナルケアの件数が年間で10件以上である事。
➃ 超・準超重症児(15歳未満)の利用者数の合計が3人以上である事。

算定額は、9,400円となります。

機能強化型訪問看護管理療養費3

算定要件

➀ 常勤看護職員数の数が4人以上である事。
➁ 厚生労働大臣が定める疾病等の利用者、精神科在宅患者支援料1、2を算定する利用者数が、月に10人以上であるか、若しくは複数の訪問看護ステーションで、共同して訪問看護を提供する利用者数が月に10人以上である事。

算定額は、8,400円となります。

※機能強化型訪問看護管理療養費は、動的に変わる利用者数や常勤看護数が、算定要件に絡んでくるので、月毎に要件を満たしているか必ず確認するようにした方がよいです。要件を満たした状態だと思っていても、実は半年前から要件を満たした状態でなくなっており、結果、過誤請求等を発生したり、取り下げや急な返金の催促等で頭を抱えるステーションも実際に多くあります。


訪問看護師と老人

退院時共同指導加算

退院時共同指導加算とは、介護老人保健施設や病院、診療所にいる入所者が、当該施設を退所や退院をする際、本人や担当訪問看護師への指導を主治の医師や関係者が共同して行い、安心して居宅療養できるようにする活動を評価する加算になります。

これから医療機関を離れ、生活を行う当該者が安心して暮らせる様に、また、担当の訪問看護師が適切なサービスの提供を行うための、共同指導を促進することを目的としています。

算定要件

介護老人保健施設や病院、診療所に入所や入院する者が、退所または退院するにあたり、指定訪問看護ステーションの看護師等が、当該者に対して、病院、診療所または介護老人保健施設の主治の医師や職員と、在宅で療養する上で必要な指導を行う退院時共同指導と、その内容を文書により提供する事で算定できます。

退院支援指導加算

退院支援指導加算は、病院などの医療期間(保険医療機関)から退院する利用者に対して、退院日に在宅療養上必要な指導を行った場合に算定できる加算です。

算定要件

➀ 退院日に療養上の退院支援指導が必要であり、かつ基準告示第2の7に該当する利用者である事。
➁ 退院支援指導は、訪問看護ステーションの看護師等(准看護師を除く)が行う事。
➂ 退院時には訪問看護の指示書の交付を受けている事。

算定額は、1回6000円となります。

おわりに

ここでは医療保険の加算について、加算毎の算定要件や算定額等をまとめてみました。このご時世、大抵のステーションは請求業務を手動で行うのではなく、なんらかの請求業務用ソフトを使用して請求業務を行う事業所が多いと思います。請求業務用ソフトを使用している事業所の医療事務の方であれば、算定額についてはソフトが自動的に算出してくれるので、そこまで気にしなくても問題ないかと思います。

最期になりますが、普段私たちが使用している電子カルテと、請求業務用ソフトを紹介します。個人的にはサポートが手厚く、電話応対等しっかりしているのでおすすめかと思います。

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